3x3のデュアルキャリア|報道記者と経営者。異色のキャリアを歩む3x3選手たち。(GOLDEN LEAGUERS 橋本圭太選手・山ノ内ジャン選手)

今回話を聞いたのは、GOLDEN LEAGUERS(以下、ゴールデンリーガーズ)に所属する橋本圭太選手・山ノ内ジャン選手です。山ノ内選手はシーシャバーを経営し、橋本選手は報道記者として働きながら、それぞれ3x3の競技に取り組んでいます。3x3歴10年を迎える山ノ内選手と、競技へ復帰した橋本選手。歩んできた道も、仕事も異なる2人。これまでのキャリアや、仕事と3x3を両立する日々について話を聞きました。

それぞれの異なる道からたどり着いた3x3

まずはこれまでのバスケットボールキャリアについて教えてください。

山ノ内:山ノ内ジャンです。子どもの頃は成績もよく、勉強だけでは物足りなさを感じていた矢先に、初めて手に取った漫画が『SLAM DUNK』でした。

それがきっかけでバスケットボールを始めました。高校は帝京高校に進み、東京でも良い結果を残すことができました。大学進学のタイミングで海外のリーグに誘われたこともありましたが、日本に残り、江戸川大学に進学しました。

大学4年生の頃からストリートバスケットボールの「サムシティ」にも関わるようになり、その後は5人制に戻り社会人リーグに所属しました。ただ、続けるうちに物足りなさを感じるようになり、そこから3x3に挑戦しました。3x3は今年で10年目になります。昨年は自分の店を出したいという思いもあり1年間バスケットボールから離れましたが、今年また復帰しました。

橋本:橋本圭太です。小学生の頃はサッカーをしていました。中学にサッカー部がなかったのでバスケットボール部に入部したのですが、チームのレベルが高く、大阪の大会での優勝や、全国大会への出場を経験することができました。その後は推薦をいただいて近畿大学附属高校に進学。高校2年生でウインターカップ、3年生でインターハイに出場しました。

大学はそのまま近畿大学に進学しました。1・2年生の頃はコロナ禍で練習がほとんどなく、次第にバスケットボールとの向き合い方を考えるようになりました。「バスケットボールだけを続けていても、就職につながらないのではないか」と感じ、練習からも徐々に足が遠のいていきました。

一方で、バックパッカーとして海外を旅する経験もしました。アフリカで貧しい子どもたちを目にしたことをきっかけに医者を目指し、2年間、医学部受験に挑戦しましたが、合格には至りませんでした。

大学卒業後は、旅行が好きで、仕事でさまざまな場所へ行けることに魅力を感じ、報道記者の道へ進みました。1年目は長野で勤務し、その後、東京へ異動するタイミングで、大学時代のマネージャーから「バスケを続けているならうちのチームに来てみない?」と誘われたんです。そこからゴールデンリーガーズの練習に参加するようになり、現在に至ります。

学生時代、進路はどのように選ばれたのでしょうか。

山ノ内:高校は、帝京高校と埼玉県の高校で迷いました。どちらも魅力的でしたが、親ともかなり話し合って、「厳しい環境でもいいから、緩くやりたくない」と思い、帝京高校を選びました。
帝京高校時代の指導は厳しかったですが、その厳しさがあったからこそ今の自分があると思っています。
大学は、江戸川大学の監督の下でプレーできれば良い環境でバスケットボールができると思い、決めました。

橋本:当時は大阪以外の高校だと寮生活が必要になることが多かったので、進学先はよく考えました。その中で、勉強と部活動を両立できる環境として近畿大学附属高校を選びました。大学には高校時代の友人もたくさんいましたし、そのまま近畿大学に進みました。

競技との向き合い方は人それぞれ。2人にとっての3x3。

山ノ内選手は、なぜ10年間3x3を続けてこられたのでしょうか。

山ノ内:もともと、頭を使うことが好きなんです。5人制では、強いチームほど監督が決めた戦術やフォーメーションに沿って動くことが多くなり、自由度が少なくなると感じていました。一方で3x3は自分たちでプレーを決めていく自由度があります。21点という限られた得点の中で、自分たちで作戦を考えていくのが心地よくて、気づけば10年続いていました。 

橋本選手は、どのような思いで現在のチームでプレーを続けているのでしょうか。

橋本:私は報道記者として、事件や事故を担当しています。急な事件が起きれば現場へ行って取材や撮影をしなければならないので、練習や試合に参加できなくなることもあります。でも、このチームは仕事への理解があって、仕事の都合で練習に出られなかったからといって、試合に出られなくなるようなことはありません。その理解があることは自分にとってとても大きいと思っています。

お二人にとって、3x3はどのような存在ですか。

山ノ内:プレーしていると、頭の中がすごく静かになるんです。普段は、お店の経営のこともあって、いろいろなことを考えてしまうのですが、3x3をしていると、ゴールだけを見ていればいいという感覚になれる。穏やかになれる場所に没頭できる、大切な楽しみです。

橋本:私にとっても楽しみの一つです。仕事では朝早くから取材をして、終わる時間が遅くなることもありますが、練習に行けること自体が幸せに感じています。

経営者と報道記者。それぞれの一日と、両立のリアル

普段は、どのようなスケジュールで仕事と競技を両立されていますか。

山ノ内:シーシャのお店は、だいたい毎日13時から20時頃まで営業しています。バスケットボールの練習がある日は、お客さんの来店状況によって早めに営業を切り上げることもあります。土日の営業中に試合がある場合は、アルバイトのスタッフに任せることもあります。営業時間外や夜中には、新しいフレーバーの研究もしています。シーシャは香りを楽しむものなので、香りの組み合わせや調香が欠かせないんです。経営者なので、比較的スケジュールを調整しやすいところはあります。実は、経営者になりたいと思った理由の一つも、バスケットボールを自由に続けられるようにしたかったからなんです。

橋本:朝早くから取材があるため、基本的には朝5時半頃に家を出ています。仕事の合間には筋トレをしたり、仮眠を取ったりしながら、日々のスケジュールを調整しています。夕方以降も仕事が入ることがありますが、練習がある日は仕事を切り上げて、17時15分頃には電車に乗って練習に向かうようにしています。

デュアルキャリアならではの難しさ、働き方・キャリアについての考えを教えてください。

山ノ内:すべての責任を自分で持たなければならないことです。広告やPR、発注、商品づくりから経営まで、すべて自分の責任なので、お店がうまくいかなければ自分のせいです。ただ、うまく経営できれば、自分の時間を確保しやすくなるというメリットがあります。今は会社員以外にも、生活を成り立たせながらバスケットボールを続ける働き方があると感じています。 バスケットボールとの両立という意味では、フリーランスに近い働き方のほうが両立しやすい場合もあると思います。もちろん、最初からフリーランスを目指す必要はなくて、まず会社に入って実績や知識を身につけてから、25歳や28歳くらいで選択肢として考えるのもいいと思います。

橋本:難しいのは、トレーニングの時間の確保ですね。練習に参加するだけでなく、筋トレの時間も確保しなければ競技力は上がりません。会社員だと休憩時間などの制約もあって、食事を徹底するのも難しいです。職場の理解という面でも、報道記者をしながらバスケットボールを続けている人は多くないので、簡単ではない部分もあります。だから、飲み会があるときはできるだけ顔を出したり、周囲と積極的にコミュニケーションを取ったりするようにしています。一方で、今は自分のキャリアは自分でつくっていく時代だとも思っているので、「練習に行きます」と自分の意思をしっかり伝えることも大切にしています。好きなバスケットボールを続けるための努力だと考えています。

「チームらしく」まとまってきたゴールデンリーガーズ

ゴールデンリーガーズで活動してみて、感じるチームの魅力を教えてください。

山ノ内:毎試合きちんとデータを取っているところです。3x3チームでここまでやっているチームは多くないと思います。データを取得・分析していくことは、チームが強くなるための重要なポイントの一つだと感じています。 もちろん、今年から活動を始めた新しいチームなので、3x3を深く理解しているメンバーが多いわけではありません。そのためにもデータは活用していきたいと考えています。

チームの雰囲気や、選手同士の関係性はいかがですか。

山ノ内:設立当初からだんだんと良くなってきています。最初はメンバー同士に壁がありましたが、ラウンドや普段の練習を重ねるうちに、少しずつ打ち解けてきました。チームとしてまとまってきたと感じています。

橋本:なんといってもチームのみんなの仲が良く、成績も少しずつ上がってきていて、以前より勝ち切れるようになってきました。 ほかの3x3チームと比べても、練習に参加する人数が多いので、雰囲気が明るくなりますし、声を掛け合う機会も増えています。

お互いの仕事やキャリアを知っているからこそ、刺激を受けることはありますか。

橋本:ありますね。英語を使ったバスケットボールスクールを運営している選手もいますし、転職して仕事を変えたメンバーもいて、さまざまな業界で働いている選手がいるので、多様な働き方を身近に感じられます。「この人はこれくらいの収入で、これくらい時間に余裕があるんだ」と知ることで、自分の今後のキャリアを考えるうえでも、すごく良い環境です。

今後、3x3を通して挑戦したいことを教えてください。

山ノ内:個人では、3XSでディビジョン1に行きたいですね。今シーズンはまずプレーオフを目指して、来シーズン以降のことも考えていきたいです。来年以降は、海外のワンデートーナメントなどにも挑戦していきたいです。以前レッドブルが開催するハーフコートの大会などで上位に進んだ経験があります。

海外の大会は日本とは雰囲気が違いますし、チャレンジする面白さもあります。自分だけでなく、チームのメンバーにも海外で挑戦する経験をしてほしいと思っています。

橋本:まずは今のリーグで上位に入って、上のディビジョンに昇格することが目標です。個人としては、自分が思い描いていたバスケットボール選手像に近づけるよう、これからも練習を続けていきたいと思っています。

「一度離れてもいい」。仕事と競技の間で悩む学生へ

卒業後、競技を続けたいけれど、仕事との両立に悩んでいる学生に、メッセージをお願いします。

橋本:私は、一度バスケットボールから離れてみるのも一つの選択肢だと思っています。必ず1年、2年離れなければいけないという意味ではありません。ただ、社会人として働いてみると、学生時代にバスケットボールに専念できたありがたさや、効率的な時間の使い方を改めて考えるようになりました。仕事とバスケットボールを両立しようとして、どちらも中途半端になってしまうくらいなら、いったん手放してもいい。会社員として一生懸命働いてみて、それでもバスケットボールが大好きだと感じたら、また戻ってくればいいんです。焦りすぎず、一度離れてみることも、良い選択肢だと思います。

山ノ内:私も大学卒業後はBリーグには進まず、別の道を選んで、3〜4年ほどバスケットボールから離れていました。学生時代のバスケットボールと社会人になってからのバスケットボールは、まったく違います。だから、一度離れたら下手になってしまうという恐怖は、手放してもいいと思います。それと同時に、仕事という生活の軸をしっかりつくることも大切です。仕事や収入が安定していないと、趣味を続けること自体が難しくなってしまうこともあります。バスケットボールを長く続けたいなら、競技だけを考えるのではなく、卒業後に生活できる基盤をつくってほしいと思います。まずは仕事に真剣に取り組みながら、投資などお金の知識も学んでおくのもよいと思います。30歳を過ぎても自分の好きなことに注力できるように、今のうちから生活の土台をつくっておいてほしいですね。

(写真左から)
GOLDEN LEAGUERS 橋本 圭太(はしもと・けいた)
2002年生まれ 大阪府出身
近畿大学附属高校、近畿大学を経て、報道記者として勤務。今年からバスケットボールへ復帰し、ゴールデンリーガーズで活動する。

GOLDEN LEAGUERS 山ノ内 ジャン(やまのうち・じゃん)
1989年生まれ 埼玉県出身
東京都の帝京高校、江戸川大学を経て、ストリートバスケットボールや5人制の社会人チームでプレー。2017年から3x3に取り組み、今年で10年目。シーシャバーを経営しながら、ゴールデンリーガーズで活動する。

GOLDEN LEAGUE公式サイト
GOLDEN LEAGUERS公式Instagram
GOLDEN LEAGUE公式X
GOLDEN LEAGUE公式TikTok

おすすめの記事