
今回話を聞いたのは、京都の3x3プロチーム、ZIGExN UPDATERS.EXE(以下・じげんアップデーターズ)に所属する中元 聡師選手と岩川 勇作選手です。2人は、2025年より株式会社 魚国総本社に正社員として勤務しながら、プロ選手として活動しています。それぞれ鹿児島・広島という地元を離れ、京都を新天地に選んだ2人。彼らの挑戦を支えているのが、競技活動を公認し、温かく応援してくれている職場の存在です。仕事の現場でどんな日々を送り、何を感じているのか。2人の言葉から、競技と仕事を両立するリアルに迫ります。
Contents
会社の一員として歩む日々。プロ選手が職場で担う、それぞれの役割
それではお二人の自己紹介と、現在のお仕事について教えてください。
中元:じげんアップデーターズの中元 聡師(なかもと・そうし)です。現在24歳で、鹿児島県出身です。昨シーズン、トライアウトを経てチームに加入しました。それまではずっと九州に住んでいたので、チーム加入を機に、仕事も住環境も大きく変化のあったシーズンでした。
岩川:同じく、じげんアップデーターズの岩川 勇作(いわかわ・ゆうさく)です。23歳で、広島県出身です。2024シーズンまでは広島の3x3プロチーム 3STORM HIROSHIMA.EXEで活動をしていましたが、2025シーズンより、中元と同じタイミングでチームに加入しました。
お二人が勤める株式会社 魚国総本社について、まず教えていただけますか。
岩川:私たちが勤める株式会社 魚国総本社は、委託給食事業を中心に展開している会社です。委託給食というのは、学校や保育園、企業の社員食堂、工場、医療・福祉施設など、さまざまな場所に食事を提供するサービスのことです。子どものアレルギー対応から、福祉施設での朝昼晩3食の提供まで、それぞれの場所やニーズに合わせて対応しています。全国に10の支社があり、パートスタッフも含めると全国で1万8,000人以上が働いている会社です。
お二人はそれぞれ、どんな仕事に携わっておられますか。
岩川:私は「総合企画室」という部署に所属しています。この部署はいわば、「会社全体の橋渡し役」のような役割です。社内の様々な部署から集まる情報を整理し、経営陣や関係部署に連携して、社内の業務を円滑に行えるサポートをしています。その他にも、社内広報や自社ホームページ・システムの管理など、会社全体に関わる業務全般も定常的にあるので、覚えることはたくさんありますが、その分やりがいを感じる毎日です。
中元:私は「財務室」に所属しており、経理を担当しています。商業高校出身ということもあり、その時に学んだ会計の基礎知識が今の仕事に役立っていますね。数字と向き合う時間が長い仕事ですが、部署のみんなとの連携を大切にしながら毎日取り組んでいます。

お二人の、これまでのバスケキャリアについて教えてください。
中元:2歳上の兄の影響で、5歳の頃からバスケを始めました。中学までは鹿児島県の奄美大島でプレーをしていましたが、「もっと上のレベルで勝負したい」という気持ちから、高校進学を機に地元を離れ、鹿児島本土の強豪校でプレーをしました。その後、鹿児島の実業団チームで活動していた時に、チームメイトに誘われて3x3を始めました。やる度に競技の魅力にのめり込むようになって、「この競技をもっと突き詰めてみたい」と思ったのがちょうど1年前ですね。偶然、トライアウトを開催していたじげんアップデーターズに応募しました。

岩川:私の場合は、両親を含め家族全員がバスケをしていて、自然とバスケを始める環境でした。ダンスなど、他のスポーツもやっていたのですが、母から「どれかひとつに絞りなさい」と言われたタイミングでバスケ1本になりました。小学5年生で全国大会に出て、中学・高校もバスケが強いところへ進学しました。広島の社会人チームで活動をしていた頃、「スリストム広島の合宿に行ってみないか」と誘われたんです。そこに参加したことがきっかけで、翌年にはスリストム広島とU24契約を結ぶことになり、本格的に3x3の世界へ入りました。プロとして活動を続ける中で、選手としてよりステップアップしたいと思い、じげんアップデーターズへの挑戦を決めました。
地元を離れ、京都へ。自らの決断で選んだ新天地
お二人ともチーム移籍と共に地元を離れていますが、その決断の背景にはどのような思いがあったのでしょうか。
中元:鹿児島を離れて京都に来ることを決めたのは、3x3に懸けてみたいという思いがあったからです。3x3に初めて触れてから、その競技の魅力に引き込まれ、やればやるほど「もっと突き詰めたい」という気持ちが強くなりました。当時は5人制でも順調に活動ができていたので、急に「3x3のプロチームに入りたいから、京都にトライアウトを受けに行く」と言った時は、周りに心配されましたね。
地元を離れ、これまで縁のなかった土地に生活拠点を移して、仕事も私生活もゼロから始めるのはとても勇気が要る決断でしたが、「3x3を本気でやる」と決めていたので、そこまで迷いはありませんでした。
岩川:私も地元がすごく好きなので、離れることへの迷いは正直ありましたが、それ以上に3x3プレイヤーとしてもっと試合に出たい、自分の力を試したいという思いがありました。
そんな時にいろんな縁が重なって、じげんアップデーターズのトライアウトを受けることになりました。じげんアップデーターズの試合を隈なくチェックしてみると、若い選手たちが中心になって戦っている姿がすごく印象的でしたね。「ここなら、チームに貢献できるプレイヤーになれるかもしれない」と思い、広島を離れる決断をしました。

仕事と競技の両立は大変かと思いますが、普段はどのようなスタイルで一日を過ごされているのでしょうか。
中元:確かに大変な場面もありますが、会社が競技活動を理解してくれているので、バランスを取りながら両立できています。私の場合は『仕事が終わった後は、体のケアやリフレッシュの時間を最優先にする』というスタイルで過ごしています。最低でも6時間の睡眠時間は確保して、仕事が終わったら、気持ちと身体を整える時間を大切にしています。週末には練習や試合があるので、平日の空いている時間にうまくリラックスしてオンとオフを切り替えるようにしています。
岩川:私は朝4時に起きて、出社前にジムに行く生活を送っています。元々、広島時代にパーソナルトレーナーの仕事をしていたこともあって、トレーニングが趣味みたいなところもありますね。仕事が終わった後も、自主トレーニングへ向かいます。ただ闇雲にやるのではなく、その時期の体の状態に合わせて、メニューも細かく調整しながら取り組んでいます。

「気にせず行っていいよ」ー競技に集中できる、職場の温かな後押し
競技活動を公認してもらえる環境で、特に嬉しいと感じる点はどこですか。
中元:一番ありがたいのは、遠征のスケジュールに柔軟に対応していただけることです。試合の移動日や次の日のコンディションのことも気にかけてもらい、「早めに言ってくれれば仕事は調整するから、気にせず行っていいよ。」と言っていただけるので、本当に心強いです。上司を含め、一緒に働くみなさんの理解があって、安心してバスケに集中できる環境が、競技に集中するうえですごく大きな支えになっています。
岩川:私の部署はその時々の状況に応じて動く業務が多いのですが、急な遠征が決まったときでも、上司や周りの皆さんに相談すれば、柔軟に調整していただけるのが本当にありがたいですね。実際、一言伝えれば前日でも「行ってこい!」と背中を押してもらえます。会社全体が応援してくれていると感じるので、「仕事もバスケも、どちらも頑張らなきゃ」という活力になっています。

職場の同僚の皆さんからは、どのような声をかけてもらっていますか。
中元:京都で試合があった時には「ぜひ見に来てください」とお知らせしました。実際に足を運んでくださった方もいて、「最近はどうなの?」と気にかけてくださる機会が増えてきました。怪我で試合に出られない時期も続きましたが、それでも応援してもらえる雰囲気を肌で感じていて、すごく励みになっています。
岩川:私の部署は他の部署との関わりが多いので、顔を合わせたときに「頑張っているね」と声をかけてもらえることが多いです。社内の中でも、徐々に私たちの活動を知ってくださっている方が増えた実感もあります。仕事もバスケも、会社全体で支えてもらっているような感覚があって、それが力になっています。

周囲の皆さんの協力を得ながら、競技を続けるお二人が仕事する上で意識していることはありますか。
中元:自分の状況を正直に伝えることと、自分の仕事の限界を把握しておくことです。無理に抱え込んで中途半端な結果になると、周りに迷惑をかけてしまいますし、信頼もなくなってしまうと思います。「できる範囲を責任もってやり切る」ことが、デュアルキャリアへの理解にもつながると思っています。

岩川:「誰でもできる当たり前のことを、ちゃんとやる」ことですね。明るく挨拶する、返事をしっかりする。知識も経験も少ない一年目だからこそ、まず一人の社会人として誠実に、明るく接する。小さなことの積み重ねが、応援してもらえる関係をつくると思っています。
自分の本心に嘘をつかない。やりたいことを「軸」に置けば道は開ける
「仕事と競技、どちらかを選ぶか」と悩んでいる学生たちも多いと思いますが、アドバイスを送るならどんな声をかけますか。
中元:まず「自分が何をしたいのか」を考えることが大事だと思います。安定を大切にしながら競技を楽しむのか。高いレベルを目指して環境ごと変えていくのか。どちらが正解ということはありませんが、自分の本心をごまかさないことが大事だと思います。私自身、やりたいことを中心に置いて、この環境を選んできて、この選択を正解にする道の途中です。
岩川:私も同じです。自分の中で「競技を全力でやるために仕事をする」という軸がはっきりしていれば、仕事へのやる気も自然と湧いてきます。「練習の時間をしっかり確保するために、集中して仕事を終わらせる」という意識が、仕事の効率を上げるモチベーションにもなっています。競技と仕事は、相乗効果でどちらもプラスにしていけるはずです。まずは自分が何を一番大切にしたいかを、しっかり考えてみてください。


最後に、今後のお二人の目標を教えてください。
中元:仕事にも生活環境にも少しずつ余裕がでてきたので、2年目は仕事も競技もスキルアップして、自分自身ももっと成長していきたいです。バスケでは、昨シーズンはプレミアリーグ(3x3.EXE PREMIER)に出場することができなかったので、まずは試合に出場して結果を残すことが目標です。
岩川:プレミアの全試合に出場して、チームの力になりたいという思いがあります。
会社の理解があるからこそ、今の自分は成り立っていると思っています。だからこそ、勝利という形で恩返しをしていきたいです。

(写真左から)
ZIGExN UPDATERS.EXE 中元 聡師(なかもと・そうし)
2001年 鹿児島県出身。
5歳の頃からバスケを始め、実業団チームを経て、2025年にじげんアップデーターズへ加入。
ZIGExN UPDATERS.EXE 岩川 勇作(いわかわ・ゆうさく)
2002年 広島県出身。
バスケ一家の環境で育ち、小学校からプレー。スリストム広島を経て、2025年にじげんアップデーターズへ加入。
ZIGExN UPDATERS.EXE 公式チームサイト
https://zigexn.co.jp/updaters/?srsltid=AfmBOoohoe2NwN0JZpRRvBD5eqI2-okYQ2AROCRVZDX7qpDh2fqkIdw7
ZIGExN UPDATERS.EXE 公式Instagram
https://www.instagram.com/zigexn_updaters.exe/
ZIGExN UPDATERS.EXE 公式X
https://x.com/ZIGExN_UPDATERS

