【1RIMレポート】3x3 KUKI HIGH SCHOOL CHAMPIONSHIPS 2025 ― 高校から、まちへ。久喜発3x3がつなぐ「輪」 ―

3x3の魅力を伝える1RIMでは、U18世代の活動にも注目しています。
その中でも、埼玉県立久喜高校はここ数年、日本選手権U18の決勝常連として存在感を放つ高校のひとつ。単なる強豪という枠を超え、3x3を地域に広げる「発信拠点」としての活動を続けています。9月末に開催された「3x3 KUKI HIGH SCHOOL CHAMPIONSHIPS 2025」に、1RIMもお邪魔してきました。

民・官・学が一体となった、久喜市の3x3推進

本大会は、久喜市内5校(久喜高・久喜北陽高・久喜工高・栗橋北彩高・鷲宮高)が参加するトーナメント形式の大会。

2022年度にスタートし、今年で4回目を迎えました。
会場は同市内の大型ショッピングモール「モラージュ菖蒲」。屋外特設ステージにはコートが設けられ、DJ・MCの演出や物販ブースなど、まるでプロ大会のような臨場感が漂います。

この大会の中心にいるのが、久喜高校女子バスケットボール部監督の早川拓さん。
「3x3を通じてまちを元気にしたい」という思いから、行政・地元企業・市民団体などとともに「3x3 KUKI実行委員会」を立ち上げ、地域ぐるみでの運営体制を築きました。
久喜市もこの取り組みを後押ししており、スポーツをまちづくりの柱とする「スポーツタウン久喜」構想の一環として3x3の普及を支援しています。

主体的に学び、試合をつくる高校生たち

会場には多くの観客が訪れ、若いプレイヤーたちの試合を温かく見守っていました。
久喜高校からは複数のチームが出場し、1年生も積極的にエントリー。試合ごとに戦術を話し合い、仲間と即興で動きを作っていく姿には、3x3が持つ“考える力”と“表現する力”があらわれていました。監督や大人の指示に頼るのではなく、自ら考えて動く。学生たちの自律的な姿勢が、ゲームを通してしっかりと表現されていました。

プロとつながる環境が、次世代のモチベーションに

久喜高校は、地域のプロチームや卒業生とのつながりも深めています。
現在は、3x3のプロ選手として活躍するOGがコーチングを担当し、現役選手たちの技術面・メンタル面を支えています。「自分がいなくなっても、チームが続いてほしい」と語る早川監督の思いを受け継ぎ、OGのユズさんとケイさんは「先生に恩返しができて嬉しい。後輩たちに3x3の楽しさを伝えたい」と笑顔を見せてくれました。

さらに、久喜高校は埼玉県初のプロ3x3チーム「SAITAMA WILDBEARS」とも連携。女子チームには練習生として、久喜高校生がチームに参画しています。
2023年には久喜市と同チームが「包括連携協定」を締結し、久喜市をホームタウンに登録しました。市内でのクリニック開催やイベント協力など、プロが地域に根ざし、学校・市民・行政をつなぐ架け橋として活動しています。
久喜高校の選手たちは、プロチームとの合同練習や、プロ選手たちとのコミュニケーションを通じて「自分たちもこの舞台へ」と大きな刺激を受けているそうです。

学校から始まり、まちへ広がる“3x3の輪”

久喜高校の活動の特徴は、学校の枠を超えて地域へ還元していること。
自分たちが3x3を楽しみ、発信し、その輪が地域に広がっていく。地域の人たちは選手を応援し、選手はその応援に応えるように成長していく。その相互作用こそが、スポーツの魅力であり、久喜市における3x3の原動力になっています。
高校生が主役でありながら、まち全体がその挑戦を支える。久喜市の3x3コミュニティは、「地域スポーツの理想形」を体現していました。

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